今年の薬剤師国家試験の結果を見て今後の薬科大学教育を憂う・・・

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今年の薬剤師国家試験の結果を見て今後の薬科大学教育を憂う・・・
2015/03/20

今年の薬剤師国家試験の合格率は昨年度を下回る史上最低の合格率になる見通しだということです。そのことについて様々な方面で波紋を広げています。特に我々薬局経営者にとってはKOパンチに近い打撃を受けたに等しいダメージがあります。けれども今回、内々のダメージはともかくとして、私が危惧する「大学教育」について意見を述べます。

「国家試験」というのは、薬剤師に限らず様々な資格に基づいて行われている我々業界側の人間にとっては、最も大切なものであることは間違いなく、従って当然その受験資格を与える大学側はその試験の合格率というのを意識するのは当然のことでしょう。けれども、あまり大学教育が「国家試験予備校」のような教育をされることには大いに憂慮する事態だと考えています。

今、漸く大学側も臨床教育に本格的に力を入れ始めて、臨床現場からも高度な研究が成されつつあります。かつて薬学部は、“創薬”にのみシフトを置いていて、“臨床からは研究は生まれない”と堂々と言っていた教授もいたくらいですが、そんなことを考えるとずいぶんと進歩したと言えます。しかし一方でそんな臨床研究の多くは「病院」というある種恵まれた施設でしか行われていない現状があります。当方では、それを少しずつでも「薬局」という現場で研究に取り組める体制を作ろうとしています。しかしながら、今回の事態をみておそらく大学側は血相を変えて益々来年度以降の対策に乗り出している事でしょう。つまり、薬学部において、「臨床研究」が出来る環境が益々少なくなってしまう・・・。”薬局での臨床研究”ということに大いなる夢を追っている我々には、意気消沈してしまう事態です・・・。

 

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