また現れた、“門内薬局論議”について思う・・・

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また現れた、“門内薬局論議”について思う・・・
2015/03/06

そもそも、「医薬分業元年」といわれた昭和49年頃の薬局は、まだまだ物品販売が主で、いい意味でも悪い意味でも医療機関との結びつきは薄いものでしたから、“門内薬局”という発想すら起こらなかった状況です。それはそれで問題もたくさんあったのですが、その分業元年からなかなか進展しなかった20~30年の間は、「医薬分業」イコール「薬局薬剤師の目指す業務」というように、「医薬分業」というシステムには大きな夢を描いていました。この“門内薬局”という発想は、結局は「医薬分業」ニアリーイコール「マンツーマン分業」という認識から生まれてきた発想であろうと私は思います。要するに「医薬分業」が夢から現実のものとなるに従ってより合理的、打算的なものに変わりつつある中で生まれてきた発想だと思います。

それとは、全くスタンスも薬剤師会の反応も違うことなのですが、私にはどうしてもリンクして考えてしまう問題があります。それは、輸液剤の「抗生物質」や「電解質」が院外処方箋で通るようになったというニュースです。これは、ほとんどの薬剤師、特に輸液調剤を行っている多くの薬局薬剤師には、歓迎して受け取られています。

けれども私にはこれがどうしても理解できない。というのは、医師が処方箋を発行して以降、薬の服薬指導、管理の指導を行うのは薬剤師のテリトリーだという認識がありました。従って、インスリン注射にしても在宅中心静脈栄養療法(HPN)にしても本来は薬剤師が指導するものである・・・、という認識です。ただ例えばHPN管理などはなかなか実際には十分な自己管理が出来ていない事から、仕方なしに訪問看護師がフォローしているという位置づけです。ところが今回「抗生物質」や「電解質」等のような薬が院外処方箋発行が可能となるのであれば、そんな認識が根底から崩れます。処方箋発行後も必ず医師や看護師の手を介さないと薬が使用できない・・・。つまり、院外処方箋によって調剤した薬を医師や看護師に戻して最後の指導は彼らに任せる・・・、ということです。この事は、はじめにも示しましたように、”1つの進歩”という受け止め方が大勢を占めています。それは、これまで院外処方箋が認められなかったのが認められるようになったのですから薬局薬剤師にとっては”いいこと”・・・なのかもしれません。現に当方の業務も、そのことによってずいぶんとやりやすくなってきた面があるのも事実です。しかしこれって、薬剤師として素直に喜ぶべきことなのでしょうか???皆さんはどう思われますか?

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