「福太郎問題」について思う・・・

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「福太郎問題」について思う・・・
2015/02/26

私が思いますのに「いいか?」「悪いか?」といえば、間違いなく「悪いこと」でしょう。というのは、今後「薬歴」への記載について、明らかに厳しくチェックされるようになることが予想されるからです。「薬歴管理は薬剤師の重要な業務であるから当然のこと、むしろきちんと薬歴管理を行っている“マットウな薬局”にすれば、そのようないい加減な薬局が淘汰されることは喜ばしいこと、と捉えるべきではないですか?」というように主張する人もおられるかもしれません。確かにそういう一面もないことはないでしょう。けれども、地方厚生局などの“空虚なマニュアル”の作成に奔走している組織のチェックが厳しくなることは医療の本質が益々見失われかねないと私は思います。

基本的に薬歴は患者情報を薬局内スタッフに伝えるためのものです。ですから、大切なことは正しい情報を合理的に記載する必要があります。薬剤師であれば投薬をする際のわずかな時間に前回までの患者情報をいかにポイントを押さえて把握するか?ということです。従って最も重要なことは、“合理性”です。つまり、薬歴管理において“簡素化”が大きな薬剤師のスキルになっていると言えます。ところがこのようにチェックが厳しくなってしまうと、“マットウな薬局”の中にはその認識がぼやけて、これまで2秒で済ますことが出来ていた薬歴の記載が、10秒、30秒とかかってしまうことになり、その分業務に支障が生じてしまいかねないと懸念致します。

以前、近畿厚生局の個別指導を受けてきました。その際に指導官が当方の「特変なし」という記載がずっと続いている薬歴を見て問題視し、「『副作用なし』とか『服薬遵守』とか書くことはいっぱいあるんではないですか?」とかいう大変細かい、“おせっかいな”指導をしてきました。(彼は、どれほどの経験と事例に基づいてその重要性を言っているのか知りませんが・・・)このように指導官のいうことを真にうけて業務をしていると、“マットウな薬剤師”はどうしても合理性よりも指導官の方向を向いて業務をするようになってしまいます。これが今回の事件で厳しくなってしまうと益々”簡素化”の重要性が軽んじられるようになってしまう事を懸念します。

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