ある余命宣告を受けた患者さんに教わったこと・・・

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ある余命宣告を受けた患者さんに教わったこと・・・
2015/10/20

歳は70歳半ば、まだまだシャキシャキしていて町内ではいろんな面で目立っていた人です。ご主人は昔かたぎの結構わがままな人ですから、他人の私が言うのはよくないかもしれないですが、苦労は絶えなかったのではないかと思います。1~2か月前より感じていた体調不良で市民病院を受診し、その結果唐突に病名と余命宣告を受けました。「胆管がん、余命1年から1年半」ということだったそうです。その生々しいやりとりを伺って、こちら側の動揺を悟られないように目を合わせないようにしながら言葉を選んでいると、落ち着いて「1年半やてー。それやったらそれでもかめへんけど・・・。」とあっけらかんと話している様子に、こちら側がほっとしたのを覚えています。その時に「なんと度胸の据わった器の大きい人か・・・!」、と感心しました。

その後処方箋の薬はもとより、足の浮腫み、体力の減退などの病状の相談、またはセカンドオピニオンの紹介依頼、さらにはご主人への愚痴なども含めて様々な相談に訪れるようになりました。そんな折緩和ケア科の医師より抗がん剤治療の終了と在宅医療の話がありました。それに対する彼女の反応は、私の予想とは大きく異なり、大変な動揺とショックを隠せない表情を見せました。余命宣告を受けた時には、あれほど冷静で器の大きさを感じさせた人でも、このような話はまた別の次元で捉える必要があるようです。これまで、我々在宅医療に関わるスタッフは、ターミナル患者さんの在宅移行が遅れ遅れになってしまうのは病院側に基本的な問題があるように感じてきました。しかしそればかりではない、複雑な要因が関係していることが分かりました。

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